はじめに
初めて印刷パッケージを制作する際、色の再現性や仕上がりについてのご質問をよくいただきます。
「モニターに映っているデザインデータの色をそのまま印刷で再現できますか。」
「仕様書にある色ブレとはなんですか。」
「色ブレしやすい色はありますか。」
「同じロットで印刷したものでも微妙に色が違って見えますが、なぜですか。」
など。
これからご注文をご検討のお客様に少しでも安心していただけるよう、よくあるご質問に回答いたします。
モニターで見る色をそのまま印刷で再現できますか?
ご質問に回答する前に、まずCMYKとRGBの違いについてお話します。
CMYKは色の三原色と呼ばれるシアン(Cyan)・マゼンタ(Magenta)・イエロー(Yellow)・キープレート(Key
plate)の頭文字を組み合わせたもので、これらを混ぜ合わせることにより、色を表現しています。印刷物で色を表現する際に使われます。
対して、RGBは光の三原色と呼ばれるレッド(Red)・グリーン(Green)・ブルー(Blue)の頭文字を組み合わせたもので、それぞれ波長の違う可視光線です。コンピュータやテレビで色を表現する際に使用されます。


それぞれ仕組みが違い、表現できる領域も微妙に異なるため、RGBで制作したものをCMYKで印刷すると、色がくすんで見えたり、暗く見えたりするわけです。
モニターで見た色と実際印刷したものの色差の例を一つ挙げます。
デザインデータ上で黒を表現する際に、「スミベタ」「リッチブラック」「4色ベタ」の3つがよく使われます。

デザインを作る際はパソコンの画面上では全ての黒が同じように見えますが、CMYKの数値によってインキの量が異なるため、実際に印刷した際の色味が異なる黒に仕上がります。
特に黒ベタの面積が大きい場合ほどはっきりと分かります。

※印刷した際の黒の違いのイメージ。
その結果、データ上ではK100%を設定し真っ黒になるはずなのに、印刷物がグレーのような色になっていて、「印刷ミスでは?」と感じられてしまいます。
イクスラボでは黒ベタの面積が大きい場合はC:30% M:20% Y:20% K:100%のリッチブラックを推奨します。
一方、成分表や注意事項などのテキストに関してはC:0% M:0% Y:0% K:100%をご使用いただいても特に色差などのご心配はありません。
以上のことから、環境設定や色味によって必ずしもモニターに映る色を再現できないことがございます。
そこで、デザインの色はそのまま再現できるか、モニターの色は実際の印刷物とどれくらいの違いがあるかなどご心配な方には、一度「本機色校正」を行なっていただくことをお勧めいたします。
本機色校正は本番と同じ印刷環境で行いますので、実際の色をご確認いただけます。
印刷の“色ブレ”とは?
色ブレとは印刷物の初校と再校・色校正と仕上がった製品の色が違う、修正のない増刷なのに前回印刷物と色が変わる現象のことを指します。
色ブレの原因をより分かっていただけるために、まず印刷物の色がどのように表現されているかについて簡単に触れます。
プロセスカラー印刷(CMYKの4色印刷)はCMYKに白を重ねることで色の表現をしております。
例でいうと、ピンクを表現したい場合はMagenta+白で印刷し、紫を表現したい場合はMagenta+cyanで印刷するイメージです。
一つのデザイン上でピンクと紫が同時に存在する場合はMagentaが両方の発色に影響しますので、Magentaインクの投入量がうまくコントロールできないと両方の発色に影響を及ぼし、結果的に色ブレが発生します。
色ブレが発生しないようにCMYK+白の5色をバランスよくコントロールするのが肝になります。
しかし、そのバランスをコントロールするのが大変難しく、弊社も含めて多くの印刷メーカーにとっては永遠の課題です。
その理由は主に環境によるインクの質の変化にあります。
室温・湿度の変化によりインクの濃度や硬さが変動するものです。
そのため、その都度の環境の変化によりインクの質が変動し、設定した濃度と違う量のインクが投入され、結果的に色ブレが発生します。
また、上記要因からインクの出方が変動し、インクが潰れて広がることでドットゲインが起こり、想定より濃く印刷されることがあります。
※印刷機を使用して作られた印刷物は、細かい点(ドット)の集合で絵柄を表現していることからドットゲインと名付けられています。
印刷において実際のデータより印刷物の色が濃く見える現象のこともまた「ドットゲイン」と呼ばれます。

※ドットのイメージ
色ブレの発生は防ぎ、ブレ具合を最小限に抑えるために、イクスラボでは室温・湿度の変化に合わせた機械設定とともに、X-Lite社製の〈ETV-XRaSDbc〉分光濃度・測色計 eXact™ 2(イグザクト ・ツー)を導入しています。
こちらの機械は印刷物や包装紙材への印刷に特化した測定器となっており、 人間の目で見た感覚を考慮した計測で、色の差が数字で表示される仕組みです。
同ロット製造時の色ブレや、初回とリピート製造時の色ブレが大きく生じないよう eXact™ 2を使い、色の検査と測定を行なっております。
弊社では色差の基準は「▵2.0以内」とさせていただいておりますが、数値ごとの色差の定義は下記となります。
▵1〜2:2つの色を横にくっつけて見比べた時に違いが判別できるレベル
▵2~3:2つの色を離して見比べた時に違いが分かるレベル
▵5〜:2つの色をかわるがわる見比べた時違いが分かるレベル
※イクスラボの機械上での設定は「ΔE2000」としております。
色ブレしやすい色は?
プロセスカラー印刷(CMYKの4色印刷)の特性上、表現が不得意な色、色ブレしやすい色が存在します。
弊社のデジタル印刷ではこれまでの製造経験をもとに下記の色はブレが発生やすくなっていることが分かっています。

色ブレしやすい原因については現在調査中で、明確な対策を提示することがまだ難しい状況ではありますが、
色ブレを最低限に抑える事が出来るように、印刷時にはeXact™
2を使い、検査と測定を徹底し、管理に努めてまいります。
色ブレしやすい色差の基準値を【色差2.5以内】とさせていただきますこと予めご了承くださいませ。
最後に色の保証期間について、ご説明いたします。
リピート製造する際に、前回の製造との色差がないように、前回製造時のパッケージをベンチマークとし、
2.0以内という基準のもとで色合わせをしております。
前回納品させていただいた製品を2年間保管しておりますので、この期間内であれば、前回製品を基に色調を調整いたします。
従いまして、色の保証期間は【2年間】とさせていただきます。
以上、色に関するよくいただくご質問について、ご理解いただけましたでしょうか。
ご不明な点がございましたら、下記フォームからお気軽にお問い合わせください。
